障害年金がもらえない人にはどんな特徴がある?不支給になる理由を社労士が解説

こんにちは、はしざき社会保険労務士・行政書士事務所の橋崎です。
障害年金のご相談では、「自分は障害年金をもらえない人なのではないか」という不安を、最初に打ち明けてくださる方がとても多くいらっしゃいます。

インターネット上には「もらえない人の特徴」という情報があふれていますが、実際には制度上の要件を満たしていないケースと、要件は満たしているのに伝え方でつまずいているケースが混在しています。
この記事では、障害年金が不支給になりやすい主な理由を整理したうえで、申請前に確認しておきたいポイントを分かりやすく解説します。

この記事の執筆者

はしざき社会保険労務士・行政書士事務所 代表
(社会保険労務士 / 行政書士 / 1級FP技能士)

はしざき社会保険労務士・行政書士事務所 代表 橋崎 正

鳥取市出身。宿毛市在住。 こうち生活協同組合に30年以上勤務し、配送業務および共済・保険業務に従事。 累計2,500件を超える相談対応の経験を持つ。

社会保険労務士・行政書士・1級FP技能士の3つの資格を持つ。 障害年金や労務の手続き、相続・遺言の書類作成、その後のお金の見通しまで、 相談先を分けずに、ひとつの窓口で対応できることを強みとしている。

高知県全域からの相談に対応。 「困ったときに気軽に相談できる存在でありたい」を理念に、 制度の説明にとどまらず、生活・仕事・事業に関する不安を整理し、 実務に即した支援を行っている。

この記事で分かること

  • 障害年金の受給に必要な3つの要件
  • 不支給・却下になりやすい代表的な4つの理由
  • 年齢・時効・所得制限など見落とされやすい条件
  • 「働いていたらもらえない」など、よくある誤解の正しい考え方
  • 不支給の通知が届いたときにできること

1. 障害年金が「もらえない」と言われるのはなぜ?

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事が制限されるようになったときに、現役世代の方も受け取ることができる公的年金です。しかし実際には、請求しても不支給と決定されるケースがあります。

その理由の多くは、病名そのものではなく、制度が定める要件を確認できなかったことにあります。「この病気だから対象外」という単純な線引きではないという点が、まず知っておいていただきたいところです。

不支給になる理由は大きく2種類

  • 制度上の要件を満たしていない(初診日・保険料の納付状況・障害の程度など)
  • 要件は満たしている可能性があるのに、書類で伝えきれていない(診断書や申立書の記載内容)

後者の場合は、準備の仕方によって結果が変わる可能性があります。「もらえない」と早々に諦めてしまう前に、一度整理してみることをおすすめします。

2. まず押さえたい、障害年金の3つの受給要件

障害年金を受け取るためには、次の3つの要件をすべて満たしている必要があります。裏を返せば、このいずれかを満たしていない方が「もらえない人」になりやすいということです。

障害年金の3つの受給要件

  • 初診日要件:障害の原因となった病気やけがで初めて医師等の診療を受けた日に、国民年金または厚生年金に加入していたこと(20歳前や、日本国内に住む60歳以上65歳未満の未加入期間も対象になる場合があります)
  • 保険料納付要件:初診日の前日時点で、一定以上の保険料を納付または免除されていること
  • 障害状態該当要件:障害認定日(原則として初診日から1年6か月を経過した日)などの時点で、法令に定める障害等級に該当する状態にあること

障害基礎年金は1級・2級のみ、障害厚生年金は1級・2級・3級と障害手当金(一時金)が設けられています。等級ごとの金額については障害年金はいくらもらえる?1級・2級・3級の金額の目安もあわせてご覧ください。

3. もらえない理由①:初診日が特定できない・証明できない

実務上、最もつまずきやすいのが初診日です。初診日は、どの年金制度から支給されるか(障害基礎年金か障害厚生年金か)、保険料納付要件を満たしているかを判断する起点になるため、障害年金の土台といえる要素です。

初診日でつまずきやすいケース

  • 受診した医療機関が廃院になっており、当時のカルテが残っていない
  • 転院を繰り返しており、「一番初めに受診した日」が本人の記憶とずれている
  • 健康診断で指摘された日と、実際に治療を始めた日を取り違えている
  • 初診日が特定できても、その時点で年金制度に加入していなかった

ただし、初診時の医療機関から証明が得られない場合でも、日本年金機構は初診日を合理的に推定できる一定の書類により、本人が申し立てた日を初診日として認める取扱いを示しています。診察券、お薬手帳、健康保険の給付記録、当時の日記など、間接的な資料が手がかりになることがあります。

「証明書が取れなかったから無理だ」と判断する前に、手元にどのような資料が残っているかを確認してみてください。

4. もらえない理由②:保険料の納付要件を満たしていない

保険料の納付状況は、初診日の前日時点で判断されます。体調を崩してから慌てて未納分を納めても、原則として納付要件の判定には反映されません。この「前日」という考え方は見落とされやすいポイントです。

保険料納付要件(いずれかを満たせばよい)

  • 原則:初診日がある月の2か月前までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること
  • 特例:初診日が令和18年3月末日までにあり、初診日において65歳未満で、初診日がある月の2か月前までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと

ここで大切なのは、「免除」や「学生納付特例」の承認を受けていた期間は未納ではないという点です。経済的に苦しい時期に手続きをして免除を受けていた方は、納付要件の判定上は納付済期間と同様に扱われます。一方で、手続きをせずに放置した期間は未納として扱われます。

20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。ただし、この場合は所得による支給制限が設けられています(第7章で解説します)。

5. もらえない理由③:障害の状態が等級に該当しない

初診日と納付要件を満たしていても、障害の状態が法令に定める等級に届いていないと判断されれば、不支給となります。ここで誤解されやすいのが、障害年金の等級は障害者手帳の等級とは別の基準で判定されるということです。

障害年金の等級のおおまかな目安

  • 1級:他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできない程度の状態
  • 2級:必ずしも他人の助けは必要なくても日常生活が極めて困難で、労働によって収入を得ることが難しい程度の状態
  • 3級(障害厚生年金のみ):日常生活にはほとんど支障がないものの、労働に著しい制限を受ける程度の状態

国民年金に加入していた方の場合、3級相当と判断されると障害基礎年金は支給されません。同じ障害の状態でも、初診日に厚生年金に加入していたかどうかで結果が変わることがあるのは、この仕組みによるものです。

障害者手帳をお持ちでも障害年金が対象とならないことがあり、逆に手帳がなくても障害年金の対象となる可能性があります。詳しくは障害年金は手帳なしでも申請できる?障害者手帳との違いで解説しています。

6. もらえない理由④:書類が日常生活の実態を伝えきれていない

要件を満たしている可能性があるのに不支給となってしまう典型が、書類の内容です。障害年金の審査は原則として書面で行われるため、提出された診断書と病歴・就労状況等申立書に書かれていることが、判断のほぼすべてになります。

書類でよくあるつまずき

  • 診断書の日常生活能力の評価が、実際の困りごとより軽く記載されている
  • 診察室では「調子はどうですか」に「大丈夫です」と答えてしまい、医師に実態が伝わっていない
  • 病歴・就労状況等申立書に空白期間が多く、経過が追えない
  • 診断書の記載内容と申立書の内容が食い違っている

特に精神の障害では、体調の波によって「良い日」と「悪い日」の差が大きく、診察時にたまたま調子が良いと、実態より軽い評価になってしまうことがあります。日々の状態をメモに残し、受診時に医師へ具体的に伝えることが、結果として正確な診断書につながります。

7. 年齢・時効・所得制限など、見落とされやすい条件

3つの受給要件以外にも、支給に影響する条件がいくつかあります。相談の場で「知らなかった」とおっしゃる方が多い項目を整理します。

見落とされやすい条件

  • 請求できる年齢の期限:障害認定日に等級に該当しなかった方が、その後悪化して請求する「事後重症による請求」は、65歳の誕生日の前々日までに請求書を提出する必要があります
  • 5年の時効:さかのぼって請求できる場合でも、5年以上前の年金は時効により受け取ることができません
  • 20歳前傷病の所得制限:20歳前に初診日がある障害基礎年金では、前年所得が一定額を超えると年金の全部または2分の1が支給停止となります(令和8年4月時点で扶養親族等がいない場合、4,794,000円超で全額、3,761,000円超で2分の1が停止。対象期間は10月分から翌年9月分まで)
  • 老齢基礎年金の繰上げ受給:繰上げ受給を選択していると、60歳以上65歳未満の未加入期間に初診日がある場合の障害基礎年金の対象から外れます
  • 労災との調整:同一の病気やけがで労働基準法による障害補償を受けられるときは、6年間、障害年金を受け取ることができません

これらは請求のタイミングによって結果が変わる項目です。特に事後重症による請求は、請求が1か月遅れると受け取り開始も1か月遅れます。

8. 「もらえない人」についてよくある誤解

ご相談の中で特に多い誤解を整理しました。思い込みで申請をあきらめてしまうのは、とてももったいないことです。

よくある誤解と実際の考え方

  • 働いていたらもらえない → 就労している事実だけで一律に不支給となるわけではありません。ただし精神の障害では、日常生活能力を判断する材料のひとつとして就労状況も確認されます
  • 収入や年収が多いともらえない → 所得による支給制限があるのは20歳前傷病による障害基礎年金です。それ以外は、ご本人や世帯の収入によって支給が止まる仕組みにはなっていません
  • 精神疾患や発達障害は対象外 → 統合失調症、双極性障害、てんかん、知的障害、発達障害なども障害年金の対象となる病気に含まれています
  • 障害者手帳がないと申請できない → 手帳の有無は障害年金の受給要件ではありません
  • 一度不支給になったら二度と請求できない → 不服申し立てのほか、状態が悪化した場合の再請求という方法もあります

なお、病名だけで受給の可否が決まるわけではなく、初診日、保険料納付要件、障害の状態、日常生活や就労の状況を総合的に確認する必要があります。

9. 不支給の通知が届いたときにできること

請求の結果、障害年金を受け取れないと決定された場合には、日本年金機構から不支給決定通知書が送付されます。この通知が届いても、そこで終わりというわけではありません。

不支給決定後の主な選択肢

  • まず理由を確認する:初診日の問題なのか、納付要件なのか、障害の程度なのかによって、その後の対応が大きく変わります
  • 審査請求・再審査請求:決定に不服がある場合の不服申し立て制度です。期限が定められているため、通知を受け取ったら早めに確認してください
  • あらためて請求する:障害の状態が重くなった場合には、事後重症による請求という方法があります
  • 書類を整え直す:診断書や申立書が実態を伝えきれていなかった場合は、準備を整えたうえで再度請求する選択肢もあります

どの方法が適しているかは、不支給とされた理由によって異なります。通知書を手元に置いたうえで、年金事務所や専門家にご相談ください。

10. 申請前に整理しておきたいこと

ご自身が受給の可能性があるかどうかを確認するために、次の情報を整理しておくと、相談がスムーズに進みます。

  • 初診日(いつ、どの医療機関で、どの病気やけがについて最初に受診したか)
  • 初診日時点で加入していた年金制度(国民年金・厚生年金・共済)
  • これまでの保険料の納付状況(免除や学生納付特例の承認を受けた期間を含む)
  • これまでの通院歴・入院歴・転院の経過
  • 現在の日常生活で困っていること(食事、洗濯、金銭管理、外出、通院、対人関係など)
  • 就労している場合は、勤務時間、業務内容、職場での配慮の有無

保険料の納付状況は記憶だけでは整理しにくいため、ねんきん定期便やねんきんネットで記録を確認しておくと安心です。

11. 高知県・幡多地域で障害年金を社労士に相談したい方へ

私自身、こうち生活協同組合で働いていたときに体調を崩し、休職を経験しました。働けない時期の不安や、制度の情報にたどり着けないもどかしさは、経験した者として実感を持って受け止めています。

高知県宿毛市・四万十市・土佐清水市・黒潮町・大月町・三原村といった幡多地域では、障害年金について専門的に相談できる窓口が身近に少なく、「誰に聞けばいいのか分からない」というお声をよくいただきます。当事務所では、社会保険労務士として、初診日の確認や納付要件のチェック、診断書や申立書の準備まで、一つずつ丁寧にご一緒します。

詳しくは障害年金の申請サポートページもあわせてご覧ください。

12. よくある質問

Q. 障害年金がもらえない人にはどんな特徴がありますか?

初診日を特定・証明できない方、初診日の前日時点で保険料の納付要件を満たしていない方、障害の状態が法令の等級に該当しないと判断された方が代表的です。加えて、要件は満たしていても診断書や申立書で日常生活の実態を伝えきれていないケースもあります。

Q. 働いていると障害年金はもらえないのですか?

就労している事実だけで一律に不支給となるわけではありません。ただし精神の障害では、日常生活能力を判断する材料のひとつとして、勤務時間や業務内容、職場での配慮の状況などが確認されます。

Q. 年金保険料に未納期間があるともらえませんか?

未納期間があっても、原則の3分の2要件または直近1年の特例のいずれかを満たしていれば、納付要件はクリアできる可能性があります。免除や学生納付特例の承認を受けていた期間は未納として扱われません。

Q. うつ病や発達障害では障害年金はもらえないのですか?

統合失調症、双極性障害、てんかん、知的障害、発達障害などの精神の障害も障害年金の対象に含まれています。病名だけで判断されるのではなく、日常生活や就労にどの程度の制限があるかによって等級が判断されます。

Q. 障害年金は65歳を過ぎるともらえないのですか?

障害認定日に等級に該当しなかった方があらためて請求する事後重症による請求は、65歳の誕生日の前々日までに請求書を提出する必要があります。一方で、それ以前に受給権が発生している場合の取扱いは異なりますので、個別にご確認ください。

Q. 不支給になったら、もう請求できないのでしょうか?

不支給決定に対しては審査請求という不服申し立ての制度があり、期限内であれば申し立てができます。また、障害の状態が悪化した場合には、事後重症による請求という方法も考えられます。

13. まとめ

障害年金がもらえないと判断される主な理由は、初診日の証明、保険料の納付要件、障害の状態の3点に集約されます。そして実務上は、要件を満たしている可能性があるのに、診断書や申立書で日常生活の実態を伝えきれずに不支給となってしまうケースも少なくありません。

「自分はもらえない人だ」と決めてしまう前に、初診日と年金の加入記録という2つの事実を確認するところから始めてみてください。そこが分かれば、次に何を準備すればよいかが見えてきます。

はしざき社会保険労務士・行政書士事務所では、受給の可能性の確認から申請書類の準備まで、幡多地域の皆さまのお手伝いをしています。まずはお気軽にご相談ください。

このコラムは令和8年度時点の制度をもとに、一般的な考え方を整理したものです。受給の可否は個別の状況により判断が異なりますので、実際の請求にあたっては年金事務所や専門家へご相談ください。

参考情報

はしざき社会保険労務士・行政書士事務所
代表:橋崎 正(社会保険労務士 / 行政書士 / 1級FP技能士)
お問い合わせ電話:090-4977-0845

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