2026年iDeCo改正|掛金上限と10年ルールを1級FPが解説

こんにちは、はしざき社会保険労務士・行政書士事務所の橋崎です。
今回は、2026年に予定されている
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の制度改正について、
高知県宿毛市・幡多地域(四万十市、宿毛市、土佐清水市、黒潮町、大月町、三原村)の皆さまに向けて分かりやすく整理します。
iDeCoは、老後資金を自分で準備するための私的年金制度です。
掛金が所得控除の対象になることや、運用益が非課税になることから、
老後の資産形成を考えるうえで有力な選択肢の一つです。
一方で、2026年の改正では、掛金の上限や加入できる年齢が広がる一方、
一時金で受け取る際の退職所得控除のルールには注意が必要になります。
「いくら積み立てるか」だけでなく、いつ・どのように受け取るかまで考えることが大切です。
この記事で分かること
- 2026年のiDeCo改正で何が変わるのか
- 掛金上限の引き上げで、自営業者・会社員にどのような影響があるのか
- 退職金とiDeCoを受け取るときに注意したい「10年ルール」
- 高知県宿毛市・幡多地域で老後資金や退職金制度を考えるときの確認ポイント
- 事業主が福利厚生や退職金制度を見直すときの考え方
この記事の執筆者
はしざき社会保険労務士・行政書士事務所 代表
橋崎 正
(社会保険労務士 / 行政書士 / 1級FP技能士)
鳥取市出身。愛媛大学法文学部法学科卒業。
こうち生活協同組合に32年間勤務し、配送業務および共済・保険業務に従事。
累計2,500件を超える相談対応の経験を持つ。
52歳で2級FP技能士・AFPを取得、53歳で1級FP技能士合格。
54歳で社会保険労務士試験に合格し、
2025年12月にはしざき社会保険労務士事務所を開設。
56歳で行政書士試験に合格し、2026年3月にはしざき行政書士事務所を開設。
高知県宿毛市を拠点に、障害年金・就業規則・相続に関する相談に対応。
「困ったときに気軽に相談できる存在でありたい」を理念に、
制度の説明にとどまらず、生活・仕事・事業に関する不安を整理し、
実務に即した支援を行っている。
1. 2026年のiDeCo改正で変わる主なポイント
2026年のiDeCo改正では、主に次の3点が重要です。
2026年iDeCo改正の主なポイント
- 一時金で受け取る場合の退職所得控除ルールが厳しくなる
- 一定の要件を満たす方は、70歳未満まで掛金を拠出できるようになる予定
- 自営業者・会社員・公務員などの掛金上限が大きく引き上げられる予定
特に注目されやすいのは「掛金上限の引き上げ」ですが、 実務上は受け取り方のルール変更も同じくらい重要です。
iDeCoは、掛金を出している間の節税効果が分かりやすい制度です。 しかし、将来受け取るときには、一時金として受け取るのか、年金形式で受け取るのかによって、 税金の取り扱いが変わります。
このコラムは制度の概要を分かりやすく整理したものです。 実際の税額、受取方法、投資商品の選択は、年齢・勤務先の退職金制度・所得・家族構成・運用状況などによって変わります。 個別の税務判断は税理士等、具体的な金融商品の選択は金融機関等にも確認することをおすすめします。
2. 注意点①:退職所得控除の「5年ルール」が実質「10年ルール」へ
iDeCoを一時金として受け取る場合、税制上は退職所得として扱われ、 退職所得控除を使える可能性があります。
これまでは、先にiDeCoの老齢一時金を受け取り、その後に会社の退職金を受け取る場合、 受け取り時期を一定期間あけることで、退職所得控除の重複調整を避けられるケースがありました。
しかし、2026年1月1日以後に支払われる確定拠出年金の老齢一時金については、 会社の退職金を後から受け取る場合の重複調整の対象期間が、 従来より長くなります。 一般的には、これまでの「5年ルール」が、実質的に「10年ルール」へ変わると説明されることがあります。
受け取り順序による注意点
- 先にiDeCoを一時金で受け取り、後から会社の退職金を受け取る場合:おおむね10年の間隔を意識する必要があります
- 先に会社の退職金を受け取り、後からiDeCoを一時金で受け取る場合:従来どおり、おおむね20年の間隔が重要になります
- 間隔が短い場合、退職所得控除の計算上、重複期間が調整される可能性があります
たとえば、60歳でiDeCoを一時金として受け取り、65歳で会社の退職金を受け取るようなケースでは、 受け取りの間隔が十分でないため、退職所得控除が思ったより使えない可能性があります。
そのため、iDeCoを利用している会社員・公務員の方は、 「いつ受け取るか」を早めに確認しておくことが大切です。
3. 注意点②:70歳未満まで拠出できる予定。ただし要件あり
2026年12月1日から、iDeCoの加入可能年齢が広がる予定です。
これまで、iDeCoの掛金を出せる年齢には一定の制限がありました。 今回の改正では、60歳以上70歳未満の方についても、 一定の要件を満たせばiDeCoに加入・継続拠出できるようになる予定です。
60歳以降のiDeCo加入で確認したいこと
- 老齢基礎年金をすでに受給していないか
- iDeCoの老齢給付金をすでに受け取っていないか
- 会社員の場合、勤務先の企業年金・企業型DCとの関係はどうなっているか
- 60歳以降も働く予定があるか、収入が続く見込みがあるか
高知県内でも、60歳以降も現役で働く方は珍しくありません。 宿毛市・四万十市・土佐清水市などの幡多地域でも、 自営業、農業、漁業、介護・福祉、医療、建設、小規模事業所など、 長く働き続ける方は多くいらっしゃいます。
そのような方にとって、70歳未満まで積み立て期間を延ばせることは、 老後資金を整えるうえで大きな意味があります。 ただし、60歳以降は受け取り開始時期も近づいてくるため、 掛金額だけでなく、受け取り時期とのバランスも考える必要があります。
4. 注意点③:掛金上限が大きく引き上げられる予定
2026年12月1日から、iDeCo・企業型DC・国民年金基金の拠出限度額が引き上げられる予定です。
特に自営業者・フリーランスの方、会社員・公務員の方にとっては、 老後資金づくりの選択肢が広がります。
拠出限度額の見直しイメージ
| 対象区分 | 現行の上限 | 改正後の上限予定 |
|---|---|---|
|
自営業・フリーランス等 第1号被保険者 |
月額6.8万円 ※国民年金基金等と合算 |
月額7.5万円 ※国民年金基金等と合算 |
|
会社員・公務員等 第2号被保険者 |
月額1.2万円〜2.3万円程度 ※企業年金の有無等により異なる |
企業年金等と合計して原則月額6.2万円 ※勤務先制度により実際のiDeCo上限は異なる |
※会社員・公務員の方は、勤務先の企業型DC、確定給付企業年金、他制度掛金相当額などとの合計で上限を確認する必要があります。
掛金上限が広がることで、余裕資金がある方は節税効果を活かしながら、 老後資金をより厚く準備できる可能性があります。
ただし、iDeCoは原則として60歳まで引き出せません。 また、投資信託などで運用する場合は元本割れのリスクもあります。 生活費、教育費、住宅ローン、事業資金、緊急時の預貯金とのバランスを考えたうえで、 無理のない掛金にすることが大切です。
5. 具体事例:四万十市の自営業Aさんの場合
四万十市で農業を営む45歳のAさんは、国民年金に加入しています。 これまで将来の年金額に不安を感じていましたが、 2026年12月の制度改正をきっかけに、iDeCoの掛金を増やすことを検討しています。
Aさんの前提
- 45歳の自営業者
- 国民年金の第1号被保険者
- iDeCoの掛金を月額7.5万円まで増やすことを検討
- 所得税・住民税を合わせた税率を20%と仮定
仮に、Aさんが月額7.5万円を1年間拠出すると、年間の掛金は90万円になります。 iDeCoの掛金は、原則として全額が小規模企業共済等掛金控除の対象になります。
所得税・住民税を合わせた税率を20%と仮定すると、 90万円 × 20% = 18万円の税負担軽減につながる可能性があります。
また、45歳から70歳まで25年間、毎月7.5万円を拠出した場合、 元本だけで次の金額になります。
7.5万円 × 12か月 × 25年 = 2,250万円
もちろん、実際には運用成果によって資産額は増減します。 しかし、国民年金だけでは不安がある自営業者の方にとって、 iDeCoは「自分で準備する年金」として検討する価値があります。
節税額は所得や控除の状況によって変わります。 所得が少ない年や赤字の年は、節税効果が小さくなる場合もあります。 掛金を増やす前に、手元資金と今後の収入見込みを確認しましょう。
6. 具体事例:宿毛市の会社員Bさんの場合
宿毛市の中小企業に勤める55歳のBさんは、65歳定年時に会社から退職金を受け取る予定です。 同時に、iDeCoにも加入しており、60歳以降に一時金で受け取るか、年金形式で受け取るか迷っています。
Bさんが注意したいポイント
- 60歳でiDeCoを一時金として受け取る予定がある
- 65歳で会社の退職金を受け取る予定がある
- 受け取り間隔が5年程度だと、退職所得控除の調整対象になる可能性がある
- 一時金ではなく年金形式で受け取る選択肢も検討する必要がある
このようなケースでは、 「60歳でiDeCoを一括受取、65歳で会社退職金」という流れが、 税務上必ずしも有利とは限りません。
受け取り方によっては、退職所得控除の重複調整により、 会社の退職金に対して想定より税金がかかる可能性があります。
そのため、Bさんのような会社員の方は、 会社の退職金制度、企業年金の有無、定年年齢、再雇用の予定、iDeCoの資産額を整理したうえで、 受け取り方法を考えることが重要です。
7. 幡多地域でiDeCoを活用する意味
高知県幡多地域では、自営業、農業、漁業、小規模事業者、医療・福祉、建設業、サービス業など、 さまざまな働き方があります。
大企業のように手厚い退職金制度や企業年金があるとは限らないため、 老後資金を自分で準備する視点はますます重要になります。
iDeCoは、次のような方にとって検討しやすい制度です。
- 国民年金だけでは老後資金に不安がある自営業者・フリーランスの方
- 退職金制度が十分でない中小企業の従業員の方
- 60歳以降も働きながら老後資金を積み立てたい方
- 所得控除を活用しながら計画的に資産形成したい方
- 従業員の福利厚生を整えたい事業主の方
一方で、iDeCoは万能ではありません。 途中で自由に引き出せないこと、運用リスクがあること、受け取り時に税金がかかる可能性があることは、 必ず理解しておきたいポイントです。
8. 事業主にとっては福利厚生の見直しにもつながる
iDeCo改正は、個人の資産形成だけでなく、 事業主にとっても従業員の福利厚生を考えるきっかけになります。
たとえば、次のような制度を検討することで、 従業員の将来不安の軽減や、人材の定着につながる可能性があります。
事業主が検討できる選択肢
- 従業員へのiDeCo制度の情報提供
- iDeCoプラス(中小事業主掛金納付制度)の活用検討
- 企業型DCの導入検討
- 退職金制度・就業規則・賃金制度の見直し
- 60歳以降の再雇用制度や定年延長との整合性確認
特に中小企業では、 「退職金制度をどう整えるか」 「60歳以降の働き方をどう設計するか」 「従業員にどこまで説明すべきか」 といった悩みが出てきやすいところです。
iDeCoの制度改正をきっかけに、 老後資金、退職金、再雇用、就業規則をまとめて見直すことも有効です。
9. iDeCo改正で失敗しないためのチェックリスト
iDeCoの活用を考えるときは、次の点を整理しておくと判断しやすくなります。
個人の方向けチェックリスト
- 現在の年齢と、何歳まで働く予定か
- 現在の公的年金の加入区分
- 勤務先に退職金制度や企業年金があるか
- iDeCoを一時金で受け取るか、年金形式で受け取るか
- 生活費・教育費・住宅ローン・事業資金とのバランス
- 元本割れリスクを受け入れられるか
- 60歳以降の収入見込み
事業主向けチェックリスト
- 退職金制度の有無と支給時期
- 就業規則に退職金規程・定年・再雇用の定めがあるか
- 企業型DCやiDeCoプラスの導入可能性
- 従業員への説明体制
- 60歳以降の雇用制度と賃金設計
- 福利厚生としての打ち出し方
iDeCoは「始めること」も大切ですが、 「続けられる金額にすること」 「受け取り方まで考えておくこと」 がとても大切です。
10. まとめ:2026年改正はチャンス。ただし出口戦略が重要です
2026年のiDeCo改正は、老後資金づくりを後押しする大きな制度変更です。 掛金上限の引き上げや加入可能年齢の拡大により、 自営業者・会社員・公務員など、多くの方にとって活用の幅が広がります。
一方で、一時金で受け取る場合の退職所得控除のルールは厳しくなります。 特に、iDeCoと会社の退職金をどちらも一時金で受け取る予定がある方は、 受け取り時期を早めに確認しておく必要があります。
高知県宿毛市・幡多地域で、 「自分の場合はiDeCoを増やしてよいのか」 「60歳以降も積み立てられるのか」 「会社の退職金とiDeCoをどう受け取ればよいのか」 と迷われている方は、制度の全体像を整理するところから始めてみましょう。
当事務所では、社会保険労務士・行政書士・1級FP技能士の視点から、 年金制度、労務管理、退職金制度、ライフプランの整理をサポートしています。 事業主の方には、就業規則や退職金制度、60歳以降の雇用制度の見直しも含めてご相談いただけます。
iDeCoの具体的な税額計算や申告内容については、税理士等への確認が必要になる場合があります。 また、投資商品の選択や運用判断は、元本割れリスクを含めてご自身で検討する必要があります。 当事務所では、制度の整理やライフプラン上の考え方を中心にサポートいたします。
よくある質問
Q. 2026年のiDeCo改正で、誰でも70歳まで加入できるようになりますか?
誰でも無条件に加入できるわけではありません。 60歳以上70歳未満の方でも、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金をすでに受け取っている場合などは、拠出できないことがあります。 ご自身の年金受給状況や勤務先制度を確認することが大切です。
Q. iDeCoの掛金は、上限まで増やした方がよいですか?
必ずしも上限まで増やす必要はありません。 iDeCoは原則として60歳まで引き出せないため、生活費、教育費、住宅ローン、事業資金、緊急時の預貯金とのバランスを見て判断することが大切です。
Q. 退職金とiDeCoは、どちらを先に受け取るとよいですか?
どちらが有利かは、会社の退職金制度、iDeCoの資産額、受け取り時期、勤続年数などによって変わります。 特に一時金で受け取る場合は、退職所得控除の重複調整に注意が必要です。
Q. 事業主はiDeCo改正にどう対応すればよいですか?
従業員の老後資金づくりを支援する観点から、iDeCoの情報提供、iDeCoプラス、企業型DC、退職金制度、定年後再雇用制度などを確認するとよいでしょう。 あわせて就業規則や退職金規程の整備も検討ポイントになります。
はしざき社会保険労務士・行政書士事務所 代表:橋崎 正(社会保険労務士 / 行政書士 / 1級FP技能士)
対応エリア:高知県宿毛市・四万十市・土佐清水市・黒潮町・大月町・三原村など幡多地域
お問い合わせ電話:090-4977-0845
