シフト制・訪問介護の有給休暇の付与日数|実績ベースの計算方法を具体例で解説

こんにちは、はしざき社会保険労務士・行政書士事務所の橋崎です。
今回は、シフト制や訪問介護の現場で特に迷いやすい 「年次有給休暇の付与日数の考え方」について、 実務で判断しやすいよう具体例を交えて整理します。

令和8年2月26日の政府の規制改革推進会議の中間答申では、 シフト制労働者の年次有給休暇の取扱いについて見直しが検討されています。
特に参考とされているのが、訪問介護の現場で多い 「非定型的パートタイムヘルパー」に関する通達の考え方です。

シフト制や訪問介護では、あらかじめ所定労働日数を定めることが難しく、 年休付与日数の判断に迷うケースが多く見られます。
そこで今回は、実績ベースで判断する方法を分かりやすく整理します。

この記事の執筆者

はしざき社会保険労務士・行政書士事務所 代表
(社会保険労務士 / 行政書士 / 1級FP技能士)

はしざき社会保険労務士・行政書士事務所 代表 橋崎 正

鳥取市出身。愛媛大学法文学部法学科卒業。 こうち生活協同組合に32年間勤務し、配送業務および共済・保険業務に従事。 累計2,500件を超える相談対応の経験を持つ。

52歳で2級FP技能士・AFPを取得、53歳で1級FP技能士合格。 54歳で社会保険労務士試験に合格し、 2025年12月にはしざき社会保険労務士事務所を開設。
56歳で行政書士試験に合格し、2026年3月にはしざき行政書士事務所を開設。

高知県宿毛市を拠点に、障害年金・就業規則・相続に関する相談に対応。
「困ったときに気軽に相談できる存在でありたい」を理念に、 制度の説明にとどまらず、生活・仕事・事業に関する不安を整理し、 実務に即した支援を行っている。

1. 基本的な考え方(再確認)

所定労働日数があらかじめ決めにくい場合は、 年休付与日数を判断するために 過去6か月の勤務実績をもとに考えます。

判断の基本式

過去6か月の労働日数 × 2
= 1年間の所定労働日数とみなす

※シフト制や訪問介護のように、あらかじめ年間の労働日数を固定しにくい場合の考え方です。

ポイントは、契約書上の予定日数ではなく、実際に働いた日数を基準に判断することです。

2. 具体例①(訪問介護ヘルパー)

  • 登録型ヘルパー
  • シフトは週ごとに変動
  • 6か月間の勤務実績:78日

計算例

78日 × 2 = 156日

→ 年間所定労働日数は「156日」とみなします。

この日数に応じて、比例付与の年休日数を決定します。
訪問介護では勤務が不定期になりやすいため、 このように実績から年休付与区分を判断することが大切です。

3. 具体例②(飲食店アルバイト)

  • 学生アルバイト
  • テスト期間や長期休暇で勤務日数が変動
  • 6か月間の勤務実績:60日

計算例

60日 × 2 = 120日

→ 比較的少ない日数の区分で年休付与を判断します。

このケースでも、判断の基準になるのは 「契約上こうなる予定だった」ではなく「実際に何日働いたか」です。

4. 具体例③(シフト削減があったケース)

  • 当初は週4日程度の予定
  • 会社都合でシフト減少
  • 6か月実績:50日

計算例

50日 × 2 = 100日

この場合も、実績ベースで判断するため、 会社都合によるシフト減少がそのまま年休日数に影響します。
現場感覚では違和感があるかもしれませんが、 運用上は「実績」で見るという点を押さえておく必要があります。

5. 実務で起きやすい誤解

現場では、次のような誤解がよく見られます。

  • 「シフトに入っていない日は有給の対象外」
  • 「登録型だから年休はない」
  • 「忙しい時期だけ付ければよい」

しかし、これらはいずれも誤りです。
シフト制であっても、一定の要件を満たせば年次有給休暇は発生します。

年休があるかどうかを「固定シフトかどうか」や「登録型かどうか」で決めることはできません。
実際の勤務実績に基づき、法令・通達に沿って判断することが必要です。

6. 社労士としての実務ポイント

今回の整理で重要なのは、計算方法そのものよりも、 「説明できるか」「運用として回っているか」です。

実務では、少なくとも次の3点を整えておきたいところです。

  • 6か月ごとの勤務実績の記録
  • 年休付与基準の明文化
  • 管理者への周知

ここまでできて初めて、現場でのばらつきや説明不足によるトラブルを防ぐことができます。

特に大切な視点

訪問介護のように非定型的な働き方が中心の現場では、
「感覚的な運用」から「根拠のある運用」へ切り替えることが重要です。

「うちの場合はどう整理すればよいか分からない」 「登録ヘルパーの年休管理に不安がある」 といった場合は、制度の説明だけでなく、 実際に回る運用ルールまで含めて整理することが大切です。

現場で迷わない年休管理の仕組みづくりを、社労士の立場からサポートいたします。

はしざき社会保険労務士・行政書士事務所 代表:橋崎 正(社会保険労務士 / 1級FP技能士 / 行政書士)
お問い合わせ電話:090-4977-0845

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シフト制・訪問介護の有給休暇の付与日数|実績ベースの計算方法を具体例で解説” に対して2件のコメントがあります。

  1. 佐藤 より:

    初めまして。
    シフト制の派遣社員の有給休暇の付与について調べていたところ、こちらに辿り着きました。
    派遣社員の場合、入社日はまちまちできっちり6か月後の勤怠実績を基に付与を行うことが現実的ではありません。

    例:末締めで1月15日に入社したスタッフの場合
     本来であれば、半年後の7月15日までの勤怠実績を基に7月16日に付与されるかと思いますが
     勤怠表の回収は末日移行であるため、7月1日~7月15日までの勤怠実績がわからないのと、毎日付与発生者が居ないか確認をすることも難しいと感じています。

    このようなケースの場合、6月末時点の勤怠を基に、7月1日付与とするのが妥当かと考えています。
    しかし、6月に満たない時点での付与となってしまうので、本来6月勤務していた場合よりも付与日数が減少してしまう可能性もあるかと思っています。
    このような問題をどのように解決すれば良いでしょうか。

    お知恵を拝借できますと幸いです。
    よろしくお願いいたします。

    1. 橋崎 正 より:

      拝見いたしました。

      ご指摘のとおり、派遣社員やシフト制労働者については入社日が個別であるため、6か月経過日ごとに勤務実績を確認して年次有給休暇を付与することは、実務上かなり煩雑になります。

      この場合、会社が基準日を統一して管理する方法(いわゆる基準日管理)を採用することは可能です。

      例えば、

      ・1月~6月入社者 → 7月1日付与
      ・7月~12月入社者 → 翌年1月1日付与

      といった運用を行っている企業も少なくありません。

      ただし注意点があります。

      労働基準法上の年次有給休暇は、本来であれば入社から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した時点で発生します。

      そのため、

      ・7月16日に発生する人を7月1日に付与する

      ことは労働者に有利な取扱いであり問題ありません。一方、

      ・本来の付与日数より少なくなる
      ・本来6か月後に発生する権利を後ろ倒しにする

      ことは認められません。

      実務的には、

      ① 基準日を統一する

      ② 初回付与は法定基準を下回らないよう設計する

      ③ 次回以降は基準日に合わせて管理する

      という方法が最も管理しやすいと思われます。

      なお、シフト制労働者については、契約上の所定労働日数が明確であれば、その日数で比例付与区分を判断します。

      訪問介護の登録ヘルパーのように所定労働日数を定めることが困難な場合には、通達に基づき勤務実績から判断することになります。

      したがって、ご質問のケースでは、

      「6月末時点の実績で7月1日に付与する」

      というより、

      「基準日管理として7月1日に前倒し付与し、結果として法定付与日数を下回らない制度設計になっているか」

      を確認することが重要になります。「派遣会社の場合は基準日方式を採用している会社が多く、厚労省の計画的な年休管理の考え方とも整合しやすい」です。

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